「もうこういう事は終わりにしようよ…」
ジョーはマユミの顔を見ず、視線を夜の海に向ける。
「よく一緒に海を見たわね…」
マユミは昔を思い出しているようだ。
「僕に近づいたのは、レバンからの指示だったんだろう?」
マユミはジョーの言葉にしばらく答えられずにいた。
「確かに最初はそうだったわ…でもあなたの事を…」
最後まで言ってしまうと、ジョーが去ってしまうような気がした。
「あの頃は楽しかったよ…ありがとう」
ジョーの昔と何ら変わらない態度に、マユミの胸は締め付けられる。
「彼女に言われたわ」
「彼女?」
「さっきまでここにいた」
そこで初めてフランソワーズとイワンの姿かない事に気づく。
「ジョーをこれ以上苦しめないで…って」
ジョーはふっと笑う。
「私の存在があなたを苦しめていたのね…私はあなたの気持ちの1つも解ろうとはしなかった…彼女に言われてようやく気づいたわ」
「キミはキミらしく生きたらいいよ。
ただ…もう彼と関わるのはやめたほうがいい」
「彼は…」
マユミが言葉を一旦切る。
ジョーはマユミの次の言葉を待つ。
「彼は私の事を唯一認めてくれる存在なの…唯1人の…」
「そう…」
ジョーは残念そうに言うと、空を見上げた。
「今後キミに会うことはもうないだろうね。会えたとしても…キミは僕の事を覚えていないから…」
ジョーはニコッと笑うと
「さよなら」
マユミがジョーの腕を掴もうとしたが、一瞬で姿を消した。
しばらくじっとしていたマユミだったが、次の瞬間自分が何故ここに1人でいたのか首を傾げながら船内に戻って行った。
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