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escape 3

連載3回目です。

続きからどうぞ。

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ここには何もないからと再び電車に乗り、隣の駅で降りる。
ちょっと大人びたレストランに入る。

「この辺の高校に通っているの?」
「うん、さっきの駅から近いんだ」

高校生は慣れないナイフとフォークに格闘中だった。

「おねえさんはどこに住んでいるの?」
「かなり遠出してきちゃった」
言葉のわりには楽しそうな顔をしているフランソワーズに、高校生もそれ以上は聞かなかった。

フランソワーズは高校生のいい食べっぷりに、自然と笑顔になる。
「旨いね、ここ。高校生の分際じゃあなかなか来れないけどね」
「今度彼女を連れて来ればいいわ」
「いないよ」
「あら、イケメンさんなのにね」
高校生が顔を上げる。

「おねえさんは結婚してるの?」
「うーん、してはいないけど・・・」
「パートナーは、いるんだ・・・」
「ま・・・ね」
「日本人?」
「ええ」
「そうだよね、だから日本にいるんだよね、おねえさんはどこの国の人なの?」
「フランスよ」
「へぇ、フランス人なんだ」


高校生は水を一気に飲みほす。
ウェイターが気づいて水を足す。

「日本語上手いね、覚えるの大変だったんじゃない?」

「え…まぁ」
翻訳機能…なんて口が裂けても言えない。


「外国で、大変じゃない?」
そんな事聞かれるとは思わなかった。
「そうね、異文化は色々大変だけれど、もう慣れたわ。」
高校生はナイフとフォークを置いた。

「俺さ・・・、逃げているんだ」
その言葉の意味を理解できず、じっと次の言葉を待つ。
「今はとても楽しい、友達も沢山いるし、学校だって」
「そう」
自分の学生時代を思い出す。
楽しかったな。このままこの日々が続くと思っていた。
「そろそろ進路を考えなければいけなくなって・・・ずっとこの日々が続くと思っていたから、現実を突きつけられたようで」
うつむき加減だが、はっきりとした口調。
「友達はみな、それぞれの道を模索していて、自分だけ取り残されたような気がしているんだ。何になりたいって夢もないし・・・ただ、今が楽しければいいと思っていたんだ」

「そうなの・・・でも・・・」
フランソワーズの言葉に高校生は顔を上げる。
「夢がないって言っているけど、今のあなたには可能性が沢山眠っているわ。まだ遅くはないと思う。時間がかかったっていいじゃない。何かこれってものに出会うのに、急ぐことはないわ」

「・・・そう?」

「だから学校休まないでちゃんと行きなさい。まずは卒業しないと」

「はは、実は時々海岸でぶらぶらしてました」

「もう、おうちの方が聞いたら呆れるわ」


「ねぇ、おねえさんの連絡先教えてよ、これも何かの縁じゃない?」

「そうね・・・あ」

鞄の中を探そうとして気づく。

「携帯、家に置いてきたの。実は私も現実から逃げてきたの」

「ええ?」
「連絡取れないように」舌を出す。

「おねえさんだって、俺と同じじゃん」

「そうね」

「パートナーさん、心配してるんじゃない?」

「怒られるかも、今日は大事な用事があって、彼も私の為に時間を空けてくれていたから」

「あーあっ、フラれたら、俺んとこ来ればいいさ」

「え?」

「なんてね」
高校生は笑う。
思わず笑い返す。

「おねえさんに話をして、少しすっきりしたよ。ありがとう。こんなにおいしいランチまでごちそうになってさ」

高校生はノートを1枚切り、そこにペンで何かを書いた。
「俺の連絡先、今はまだ学生だけど、そのうち恩返しができるよう頑張りますから」
メモを見て微笑んだ。

「楽しみに待っているわ。私も帰ったら連絡するわね」

「ホント?パートナーさんに怒られない?」

「彼はそんな器の小さい人ではなくてよ」

「ノロケてる」

「もう、学校戻る時間じゃないわよね」

「まぁ・・・ね」
また説教かとちょっと小さくなる。

「ねぇ、ちょっとこの辺案内してくれない?」
「こんな田舎町だけど、いいの?」
「ええ、田舎町だからいいの」
「ふーん、変っているんだね、いいよ。」

2人はレストランを後にした。


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