前回作文と過去作文に沢山の拍手ありがとうございます!
連載4話です。
続きからどうぞ。

4
夕飯の時間になっても研究室から居室に戻らないジョーを心配したフランソワーズが様子を見に行く。
後ろを向いたままのジョーに、忙しいから夕飯はいらないと言われる。
あの件以来、距離があるように思える。
あなたは…何を考えているの?
キッチンに戻り、サンドイッチを作り持って行く。
「何か食べないと、サンドイッチ作ったから…」
「ありがとう」
後ろを向いたまま…。
フランソワーズは静かに扉を閉める。
ジョーはショックを隠しきれず、フランソワーズの顔すら見れなかった。
深夜になり、リビングを覗いてみると、ジェットがアメリカンコメディを見ていた。
「ジェット…ちょっと話聞いてくれる?」
ソファーに横になり、長い足をもて余していたが、ジョーにテラスへと促され、テレビを消し、起き上がる。
「何だよ、こんな時間に」
「どうしても自分の中だけで整理がつかなくって…」
ジョーは一枚の出力紙をジェットに見せる。
タイトルは「reproductivefunction」
…生殖機能?…。
「…何だ…これは…」
ジェットは黙読した。
「ジョー…これは…」
最後の言葉にジェットも吐き気を感じたようだ。
「悪ぃ」
「僕も同じだったよ…」
「…フランソワーズは」
「…知らないと…思う。」
ジェットから出力紙を受けとると、目の前にあった灰皿に入れ、ライターで火を付けた。
…フランソワーズには見せられねぇよな…。
ジェットは表情がないジョーの顔を眺めていた。
「年齢から言えば…」
ジョーがぽつぽつ話し出す。
「家庭を持ったり子供を持ったり…そんな事を考える時期なのかもしれないけれど…。」
「俺達は、自分の身でいっぱいいっぱいだよな…」
珍しくジェットも思い詰めている。
「10代の頃は、自分を傷つけ、人を傷つける事で、生きている実感があったような気がする。」
ジェットは思う。
外見は穏やかに見えるこの男も、昔は自分と同じだったんだと。
「人の親になるなんて…ピンと来ないよね?」
「そうだな…お前も俺と同じだもんな…。ガキん頃は一人で生きてきた。家庭なんて自分には無縁だった。」
…だから、家庭には人一倍の憧れがあった…。
「全く、反則もいいところだ!!」
ジェットが立ち上がり、柵に向かって歩き出す。
手にはジョーが燃やした紙の燃えかす。
「未来どころか、過去にも翻弄されていやがる!!」
海に向かって燃えかすを投げるが、距離は届かず、砂浜に落ちた。
「僕らで実験をするつもりだったんだ…」
サイボーグの子供はどのような能力を持つか…。
隠されたファイルに書かれていた文面。
不自然に残された生体部分、見えない自分の将来、未来を告げた未来人。そして見つけてしまった実行しなかった恐ろしい実験の詳細。
心が…追いつけずにいた…。
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