ホテルを離れ、無人島に渡ってから半月くらい経っていた。
窓の外の景色は無人島に渡る前と変わりなく
目の前の景色に変化はないが、フランソワーズの心の中には深い悲しみと憤りでいっぱいになっていた。
何もせずただ部屋のバルコニーに腰掛け、外の景色をぼんやり眺めているだけ。
私達が場所を突き止めたから?
もう少し時間があれば助けられたかもしれない
彼にだって…生きる権利はあった筈!
ジョーはそんなフランソワーズの姿を何も出来ず見守っていた。
全て終わり、博士に報告した時に、フランソワーズが落ち着くまでしばらくホテルに滞在していなさい。と言われた。
帰った方が気分が変わるのでは?と考えたが、フランソワーズは何も言わずホテルに戻った。
そしてバルコニーのチェアに座り、ただぼんやりと海を眺めている。
ぼんやりはしていない、頭の中は色々な感情が戦っている。
ジョーはフランソワーズの背後に回ると後ろから抱きしめた。
フランソワーズがビクっとした。
「日が暮れたら付き合って欲しい場所があるんだ」
日が暮れたビーチにはたくさんの人がいた。
手にはランタン
合図と共にランタンは手から離れる。
沢山のランタンが空に向かって飛んで行く
「ここで行われるスカイランタンは、死者を弔うものらしい。まるで日本の灯籠流しみたいだ」
ランタンの淡い光が漆黒の空に吸い込まれていく。
それはとても美しく、儚い。
フランソワーズは涙を堪えられなかった。
「彼が行動を起こしたのはきっと…自分を造った科学者へ抗う事だったんだと思う」
ジョーの言葉にフランソワーズは顔をあげる
「こうなる事は能力で予想出来ていたのだろう…それに彼にとって唯一の人としていられた瞬間は…キミと話をしたあの時なのかもしれない…」
フランソワーズはハッとする。
「彼はきっとキミに感謝しているよ」
ジョーはフランソワーズの肩を抱く。
フランソワーズは空に吸い込まれるランタンを見つめた
アリガトウ
声が聞こえたような…気がした。
END
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