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地下の施設に監禁されていた女性。
名前は「ラン」と言う。
国籍も、どこから来たのかも、何故囚われたかもわからない。
記憶を失っていた。
「ラン」という名前は囚われていた施設で使われていた名前で、本名かどうかもわからないという。
東洋系の短い黒髪と大きな目。
小柄で見た目は10代の少女だ。
イワンはまだ眠っているし、記憶が戻るまでギルモア邸に置く事になった。
警察も考えたが、見つかった場所から隠密にしておいた方がよいという事になった。
「おぅ、あれじゃあいつものパターンだよな」
「何が?」
テラスに一人海を見ていたフランソワーズに、ジェットが話しかける。
「お前が助けてやったのによ、お嬢さんにはジョーしか見えてねぇじゃねぇか」
「あらそう?私とも話はするわよ」
「ジョーの奴はいつもそうだ。お前の気持ちなんて何も考えちゃいねぇ、さしずめ『ぼくは女の子の事はよくわからないから、キミが面倒見てくれる?』てぇんだろ?」
「私達が助けた命なんだから、記憶が戻るまで面倒見なきゃいけないわ」
「そ~んないい子ちゃんな回答していて、後で泣きっ面見せられても責任取れね~からな」
「何よ、泣きっ面って」
「ああいう女は、したたかだぜ」
確かに…ここに来てから不安そうな目をして怯えているランからジョーは離れられないでいる。
「お前は強いからな」
ジェットは冗談のつもりだろうが、フランソワーズには冗談には聞こえなかった。
「私だって…好きで強い訳じゃないんだから…」
不安そうに見上げる瞳。
大丈夫だからと慰めるジョー。
早く記憶を戻して欲しいと思わずにはいられなかった。
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