6
翌朝もジョーとランは出かけて行った。
何の用事もない。
ただのデートだ。
この展開をいつもはしゃぐジェットは、全くかまって来ない。
それ所か、読み慣れない哲学書を読み始めた。
ピュンマは夏の終わりを探しに行くとかなんとか言いながら出かけていく。
…みんな、何なの?
イワンも狸寝入りしている。
バカにしないでよ‼︎
もう誰もランの記憶を戻そうとか考えていないようだ。
そればかりか、みんながランに優しい。
ランも記憶を失くしたという感じがなく、みんなと普通に接している。
もうこの家の住人のような…。
どうしても違和感がぬぐえぬ、その場にいられず外に出た。
海岸の岸壁に腰を下ろし海を見る。
潮風が気持ちいい。
海は穏やかに波打っている。
少し気分が晴れるような気がした。
どうしてこうなったか考えた。
助けなければよかったのかと考えて首を振る。
「そんな事考えちゃいけないわ…」
家に戻る途中、ジョーの車とすれ違った。
気付いているはずなのに、無視をされた。
助手席にはランが乗っていた。
ジョーに笑いかけている。
ジョーも笑ってた。
もう…どこにも自分の居場所がないような気がした。
それでもみんなの為にご飯を作っていた。
みんながフランソワーズの作った料理を当たり前のように食べて、ランを囲んで色々な話をしている。
時折大笑いしながら…。
フランソワーズはテラスで一人星を見る。
空が澄んでいて、星が綺麗だ。
デッキチェアに横になり、ぼっと星を見る。
誰一人星を見ようなど考えず、ランと話をしている。
記憶喪失の女の子と話していて面白いのかしら…。
ジョーの隣で笑っているランが見える。
私だけでも、彼女の記憶を戻さなければ…。
何故か気持ちが焦っていた。
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