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翌朝、リビングに行くと、ジョーとランの姿がなかった。
車もない。
イワンがそろそろ起きる時間だと、イワンの元に向かう。
すっきりした顔をしていた。
「ねぇ、イワン」
「キミの言いたいことは全部わかる。彼女は何者なのか…だろ?」
仕事が早い。
「そう、記憶を失っているらしいの。だから…」
「今現在言える事は…」
フランソワーズはじっとイワンを見る。
「ない」
「え?」
イワンにさえわからない…一体彼女は何者なのか…。
フランソワーズは窓の外を睨む。
海が見えるカフェ。
ジョーとランが向かい合わせに座っている。
「ここのモーニングは旨いんだ。」
ランはスクランブルエッグをおいしそうに食べるジョーに思わず微笑む。
客もそこそこいる店内
大きな窓からは海が一望できた。
「海…」
「何か思い出した?」
「…いいえ」
「そっか…」
「それより、聞きたい事があるの」
「何?」
「あなたたちは…何者なの?」
ジョーはコーヒーを一口飲むと
「知らない方がいいんじゃない?」とさらりとかわす。
「キミだって…あんな所に捕まっていたんだから、普通じゃない。」
「…そうね。」
ランはトーストをかじる。
「ホント…おいしい」
「でしょ?」
得意気なジョーの顔を見て、ランがくすっと笑う。
心の中にぽっとなにか暖かいものが流れてきたような…。
「私…このまま記憶が戻らなくてもいいような気がするわ…」
「そう?」
ジョーの発言に驚くラン。
「いいの?」
「記憶はゆっくり戻していけばいい。」
ジョーの笑顔にドキっとするラン。
「いい天気だね…これから何処か行く?」
昨日まで戸惑っているようだったのに…。
心の隅ではおかしいと思いながらも、嬉しさの方が勝ってしまう。
…でも。
このままでは…いけない…。
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