「え?」
何が起こったのかわからなかった。
フィリップはフランソワーズの下敷きになった形のまま動けないでいた。
フランソワーズの胸が…
そんな感動よりも上にいるフランソワーズの行動に息を飲んでいた。
見えなかったが、誰かを銃で撃った。
そしてフィリップを押し倒したのはその誰かが銃を向けたから。
先ほど立っていたドアには沢山の銃痕があった。
そこにいたらと思うとゾッとする。
「フィリップさん、大丈夫?」
いつもの優しいフランソワーズがフィリップを気遣う。
フィリップは体を起こすと、目の前に人が倒れていた。
「し…死んだのですか…?」
「大丈夫、これはロボットよ」
「ロボット?」
どう見ても人間だ。
「よく出来たロボットですね…」
「ここをロボットに見張らせていたのね、ジョーは恐らく毒薬を撒くロボットに出くわしたのかもしれないわね…私たちも注意しないと」
「ジョーさんはここで倒れたわけではなさそうですよね。ちゃんと戻ってきているようだし、そうなると毒薬の効き目が出てくるのは時間が経ってから…ということでしょうか?」
「私たちだから効き目が遅く現れた…って事も考えられるわ」
「そうか…」
「あの扉の中の部屋はコンピュータールームのようね、当たってみましょうか」
フランソワーズは銃痕が生々しい扉の前に立つ。
パスワードを瞬時に解読し、扉が開いた。
「すごい」
これだけの設備、一個人ではとても揃えられない。
バックに大きな企業がいるのか、それとも何か別のものが…
「このコンピューターをハッキングするからフィリップさんは解毒剤の作り方を探して欲しいの」
「わかりました」
沢山のコンピューターが並んでいた。
フランソワーズは一つのパソコンの前に座る。
素早くブラインドタッチを繰り返す。
その様子をフィリップは見守るしかなかった。
「できたわ」
それほど時間はかかっていない。
「ギルモア研究所のコンピューターにも繋げたから、博士たちも一緒に探してくれるわ」
フィリップは慌てて隣のパソコンの前に座る。
「お願いね」
フランソワーズは席を立つと、銃を持ちフィリップの後ろに立つ。
フランソワーズは立っていて、フィリップは座っているが、背中合わせの状態。
「フランソワーズさん」
フィリップがパソコンの画面を睨みながらフランソワーズを呼ぶ。
「何?」
「解毒剤の作り方が見つかって…ジョーさんが助かったら…」
「え?」
「僕とデートしてくれませんか?」
フィリップは顔をパソコンの画面から離さずにいた。
フランソワーズは一瞬振り返り、フィリップの方を見たが、パソコンの画面から目を離すつもりがないと気づくと、元の位置に視線を戻す。
「いいわよ」
「ありがとう…何が何でも探し出してジョーさんを助けます」
「ありがとう…」
お互い背中合わせのまま、顔を見合わせる事もなかった。
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