目の前のドイツ美女は、驚いているジョーに笑いかける。
「誰だっていいじゃないの、あなたの事は彼からよく聞かされているわ」
「彼?」
「あの城の主には逢わない方がいいわ」
「何故?」
「とびっきりの美人よ、あなたみたいなベビーフェイスじゃ、食べられちゃうかもしれないわ」
「たべ…‼︎あなたはいったい⁈」
「あと…あなたは彼女との距離に甘んじているみたいだけど、彼女を狙っている男は、あなたが思う以上にいるわよ、ちゃんと近くにいないと、誰かに取られちゃうわよ」
「…⁈」
「彼はその事を1番心配しているみたいだけど。」
彼、という単語を口から発する時の彼女はとても幸せそうだ。
…いやいや、そんな事を考えている場合じゃあない。
今の状況が何一つ理解できない。
「いったいあなたは誰なのです⁈」
ジョーの質問には答える気はなさそうだ。
「届けておくから…」
…。
「‼︎」
ジョーは車の運転席にいた。
「え⁈」
辺りを見回す。
景色がさっきと違う。
「ベルリンに…戻ってる⁈」
慌てて助手席にあったカバンの中をみる。
「書類が…ない」
青くなる。
あの書類は口外できないものだ。
人の手に渡ったら…!
携帯が鳴る。
ドキっとする。
画面は博士の番号を知らせている。
恐る恐るスライドさせる。
「ジョーか、書類届けてくれてありがとう、無事届いたとブラウン博士から連絡が来たぞ。」
「え…⁈」
息を飲んだ。
あの女性が本当に届けてくれたんだ。
「博士…」
「なんじゃ?」
「ブラウン博士、美人ですね」
「…そうじゃろ?」
ジョーは携帯を滑り落とす。
「どうした⁈ジョー?」
「…あ、すみません、携帯が落ちました。じゃあアルベルトの所でクリスマスをして、年末にはみんなで戻ります。」
「おぉ、楽しんでおいで」
「では…」
電話を切り、深呼吸をする。
エンジンをかける。
「…かかった…」
何かに化かされたような…。
頭の中が混乱しっぱなしのジョーだった。
PR