前回に拍手ありがとうございます。
今更ですが、もっと気の利いたタイトルにすればよかったなと^_^;
今更ですが…。
続きからどうぞ。

9
その日は朝から晴れていた。
フランソワーズはジャンと電車に乗っていた。
またジョーメモを見ながらの旅だ。
忙しくしているジョーに、そんな時間はあったのだろうか…。
電車は都会を抜け、段々とのどかな雰囲気になってきた。
「何処に行くんだ?」
フランソワーズはにっこり笑い
「思い出に会いに行くの」とだけ言った。
着いた所は街外れの寂れた遊園地。
でも何処か懐かしかった。
「似ているでしょ?」
クリーム色のワンピースに赤の薄いカーディガンを羽織ったフランソワーズが笑いかける。
華奢なサンダルが似合っていた。
会えなかった数年で随分女らしくなったものだ。
男の子と喧嘩ばかりしていた頃が懐かしい。
遊園地の雰囲気が、昔よくフランソワーズを連れていったパリ郊外の遊園地によく似ていた。
「さ、行きましょ!!」
手を引かれ、走り出す。
「ジョーとね」
「うん?」
「ジョーと車でこの辺を通った時に見つけたの。懐かしいなって…。兄さんと来たかったの。」
大切な思い出の引き出しを開けるような…。
楽しかったパリの思い出。
やんちゃで兄を困らせた。
バレエの舞台を見てからバレエに夢中になった。
大学に進みたいと言ったら、俺がバリバリ働くから…と応援してくれた…。
2人ともあの頃に帰って楽しんだ。
日が傾き始めた頃、観覧車に乗る。
山々や木々が生い茂る郊外の遊園地。
都会にばかりいたからか、何となく安心した。
「夕焼け…きれいね」
「なぁフランソワーズ、明日俺と一緒に帰ろうや…」
しばらく何かを考えているようだった。
「そうね…帰るわ。」と答えた。
「いいのか?」自分から帰ろうと言っているのにおかしな話だが、この数日間、ジョーと同行しなかったのに、常にジョーがいた。
フランソワーズにはかなり大きな存在のはずだ。
「私…わからなくなっちゃって…」
「わからない?」
「自分から兄さんを探しておいて、このままでいいのかと悩んでいるの。パリに帰って一度自分を見つめ直してみるわ」
「そうか…」
観覧車から降り人の波に乗り、出口に向かう。
出口側の駐車場は、閉園間近だからから閑散としていた。
一台の車が止まっていた。
「あ、ジョーが来てくれたわ」
コンパクトサイズのフランス車。
…らしいな、と思った。
あれがジョーの愛車なのだとフランソワーズは語る。
ジョーの姿を見つけ手を振るフランソワーズの笑顔を、ジャンは黙って眺めていた。
家に戻る頃には夜になっていた。
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