前回に拍手ありがとうございます。
ジャン兄の帰国が近づくにつれ、揺れ動く2人の気持ち。
続きからどうぞ。

8
オッサン2人旅も無事終り、帰国の日程も残り2日となった。
明後日の便で帰る為、ジャンが日本を観光するのはあと一日だ。
明日はフランソワーズと兄妹水入らずにしてあげましょうと言ったのはジョーだった。
アルベルトには解っていた。
ジャンが来日した目的も、ジョーの気持ちも…。
テラスで椅子に腰掛けて、煙草を吸っていたアルベルトに、ジョーが声を掛ける。
「お疲れ様でした。せっかくの休暇に悪かったね」
「いいや、お前さんのノートのお陰で、俺も楽しい旅が出来たよ。」
「アルベルトはいつ帰るの?」
「ジャンさんの翌日の便を押さえた。ジェットも同じ日に帰るらしい」
「…寂しくなるなぁ…」
ジョーがぽつんと呟いた。
「お前…フランソワーズを止めないのか?」
ジャンから流れは聞いていた。
フランソワーズが帰国したいという意思があれば連れて帰ると。
「自分の祖国に帰るのに、止められないでしょ?」寂しく笑う。
ジョーはこれからもずっとここで仲間の行き来を見ているのだろう。
「寂しくないのか?」
「多分大丈夫だよ、一生会えない訳じゃないし、こっちも色々忙しいからね。」
強がってるな…相変わらず。
こんなに自分を押し殺して、爆発しなければいいのだが…。
アルベルトは、テラスの柵に身体を預けて空を仰いでいるジョーの姿を見ていた。
身体は人より強いかもしれないが、心は人よりずっと弱い。
我慢し続ければ絶対にどこかで爆発してしまう。
身体と心がアンバランスな俺たちは特に…だ。
「なぁ…ジョー」
「え?」
「自分に正直になれ、無理だけはするなよ…」
返事は…なかった。
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