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朝食を作りながら、フランソワーズは考えていた。
ジョーの煙草の匂いが兄のものだった。
きっと兄と話をしたんだわ。
兄が来日した目的はきっと…。
私を連れ帰る事。
パリで暮らした日々を思い出す。
楽しかった日々。
でも…今、その生活に戻れる訳がないのも解っている。
パリに兄を探しに行くと言った時に、不安そうな顔をしたジョーを思い出す。
自分が兄を探した事で、尚自分を迷わせている…。
私はこれからどうすればいいの…?
ジョーはあと2日研究室に詰める。
フランソワーズもコズミ博士の研究室に手伝いに行っていた。
それもあと2日。
とりあえず今日はジェットが、明日はアルベルトが、日本を案内することになった。
ジェットは大張りきりで「フランソワーズの兄貴に日本のサブカルチャーを紹介するぜ!!」と意気込んでいた。
かなり心配ではあるが、ジョーもフランソワーズも抜けられず、仕方なく任せることにした。
秋もだいぶ深まってきた。
ジョーはバス停まで歩く。
Tシャツで出掛けようとしたら、フランソワーズに寒いからと薄手のパーカーを着せられた。
正直、真冬でも裸で平気なんだけどね。と言ったら怒られた。
「あなたは優秀な皮膚を持っているかもしれないけれど、人間らしさを忘れないで欲しいの。」
…要は「周りに合わせろ」って訳なんだよね…。
こんな体にされてから、そんなことはどうでもよかった。
「人間らしさ…か」
肩からずれたリュックを担ぎ直す。
バスが来たので走り出す。
…人間らしく…。
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