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翌日、アルベルトのおもてなしツアーが始まった。
「俺が…考えた…と言いたい所ですが、ジョーの案なんですわ」
ニヤリと笑う。
トーキョーという都市は、便利ではあるが、知識がないと混乱してしまう。
アルベルトは、ジョーから貰ったメモを見ながら電車に乗り換える。
「マメなんですよ…アイツは」
らしいな…とジャンは思った。
ジョーとフランソワーズがいつも使っているらしいカードを渡される。
これ一枚でどの電車にも乗れるそうだ。
「フランスにもありますよ。」
フランスと違うのは顔写真がないことか。
これなら…誰でも使える。
ジェットは持たされてなかったな…なんて昨日の事を思い出す。
切符売り場で、いちいち女の子にどこまで買えばいいのか聞いていたな…。
女の子にしか聞いてなかったよな…。
最近出来たタワーに向かう。
チケットの買い方までちゃんとメモに書いてある。
ドイツ人とフランス人のオッサンが2人でタワーに登る。
色々な国の人が多くいるのは幸いだ。
「俺も始めてなんですよ」
街がミニチュアに見える。
車や電車がミニカーに見える。
今まで縁のなかった国だった。
高いビル群の先には高い山。
この国に今、妹は暮らしている。
不思議な気持ちで遠くを眺める。
「ジョーが言ってたけど、夜はカップルだらけらしいですよ」
アルベルトも遠くを眺めていた。
タワーから降り、電車で2駅位の距離に、ガイジンが多く訪れると言われているアサクサがある。
色々な国の顔や言葉が行き交う。
「確かこの近くに…」
ジョーメモを見ながら歩くと。
「ここでお昼食べましょうか?」
入った先は天ぷらを食べさせてくれるお店だった。
始めての「天ぷら」に戸惑いながらも、あまりの旨さにオーダーも増える。
昼からビールなオッサン2人旅。
「ジョーは何故研究員に?」
ずっと気になっていた事だった。
「俺たちみんなの為ですよ」
フランソワーズから、背負わされてしまった物の話は聞いていた。
自分達の未来を考えて、ジョーは勉強することを選んだのだという。
「努力家ですよ、ヤツは。」
始めて会った時の事を思い出す。
まだ数ヵ月前だが…。
いきなり現れた東洋人に、ハンマーで殴られたような衝撃をくらったものだ。
直感したからな…。
コイツがフランソワーズを俺から奪うんだと…。
「きっとフランソワーズの事も…幸せにしますよ…」
幸せ…という言葉は、いつ戦わなければならない自分達には無縁のような気がするのだが、今はそんな言葉しか浮かばなかった。
「さぁ、まだまだメモに書いてありますよ」
ユーロ圏オッサン2人旅はまだまだ続くようです。
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