12
タナベの苦心の策で、ジョーの脳に刺激を与えることになった。
それがどうなるかは解らないが、何かをやらなければ赤毛に殺られる。
フランソワーズはテラスで空を眺めていた。
流れる雲をただ眺めていた。
昨夜のジョーの行動が理解できなかった。
何故キスをしたのか…。
彼の中で何かが起こっているのは確かだけれど…。
処置が終わったと連絡が入ったので、フランソワーズはメディカルルームに入る。
眠っているジョーに近づく。
記憶を無くす前と何ら変わらない寝顔。
目を覚ませば、名前を呼んでくれる…。
ジョーが目を覚ました。
「…キミが側にいてくれたのか…。」
「気分はどう?」
いつもジョーが目覚めるとこの言葉をかけてしまう。
「…。」
いつもなら何らかの返事をくれるのだが、言葉が出ない。
フランソワーズは深呼吸をする。
「ごめんなさい…時々記憶が戻ったんじゃないかと勘違いしちゃって…」
「僕って…どんな人間なの?」
自分が何者なのか…それすら解らない。
辛いだろう。
フランソワーズは暫く考えると
「正義感が強くって、自分より他人を優先して、心が優しくて、そして…」
言葉を切ったフランソワーズを、ジョーはじっと見る。
「泣き虫よ」
「正義感が強い泣き虫か…」
ふっと笑う。
フランソワーズも一緒に笑う。
あの写真のように…。
ジョーの胸がドキッとした。
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