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フランソワーズはメディカルルームをノックする。
中から女性の声がした。
中に入ると黒髪の女性がベッドに横になっていた。
フランソワーズの顔を見て、女性はうつむく。
「…ごめんなさい…でも、こうするしかなかったの…」
フランソワーズはベッドサイドに近づくと、丸椅子に座る。
「事情を説明してくれないかしら…」
彼女の名前はアユミ、ジョーの昔の知り合いだという。
恋人が脳科学を専攻している科学者で、ガモ弟子に捕らえられた。
その時一緒にいたアユミも捕まり、体内に爆弾を入れられた。
脳の記憶でジョーの姿を捉えたガモ弟子達は、ジョー捕獲を命じた。
日本の生体工学を専門にしている研究所を当たるように言われ、探していたらジョーに出会えた。
助けてほしいと懇願した。
体内の爆弾の事も、捕らえられた研究員達の事も話をした。
翌日ジョーとモスクワに渡った。
「ガモ博士」という名に、ジョーの態度が変わったのだと言う。
ジョーも脳の情報を見られそうになり、直後倒れたという。
その後彼は記憶喪失になった…と。
「そう…」
「ジョーは今どうしているんですか?」
アユミが心配なのか聞いてきた。
「眠ってるわ」
「あなた…バレエをしているのですか?」
「…え?」
「記憶喪失になってからのジョーが唯一反応したのが、モスクワで見たバレエ学校のレッスン場だった
の…何か深い記憶があるのかと…」
この人の前では泣きたくなかった。
でも止めることが出来なかった。
もう出る涙もないと思っていたのに、涙が溢れてきた。
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