「あなたは何も悪くないわ…」
その女性は、にっこり笑い、アルベルトの側に腰掛けた。
「自分を責めたって時間は戻らないのよ…それよりもあなたが私の分まで生きてくれること…生きていてよかったと思ってくれることが、私にとって一番嬉しい事よ…」
女性はアルベルトの手を握る。
「いつも側にいるから…」
握った手が消えていく…。
「ヒルダ!!」
…。
アルベルトはベッドから起き上がる。
…夢か…。
やはり気持ちが高ぶっている。
この時期はいつもそうだ。
自責の念で苦しめられる。
…ヒルダ…。
お前が俺を許してくれるのなら…。
お前がいつも側にいると感じられるなら…。
ふっと息を吐く。
…それどころじゃないな、フランソワーズはどうしただろうか…。
リビングは誰もいなかった。
いつもならフランソワーズが朝食を作っている時間だが…。
「何か作るか」
アルベルトは、パンケーキとオムレツを作る。
作り終えた頃に、ジョーがリビングに入ってきた。
「おはよう」
憔悴しきった顔は、物凄い敵と戦った後のようだ。
「寝てないだろう?」
「…うん」
「フランソワーズはどうした?」
「寝てる」
「そうか…、パンケーキ食べるか?」
「もらうよ」
ジョーがテレビをつけ、ソファーに腰掛ける。
アルベルトは、コーヒー豆を挽き、コーヒーを入れる。
テレビは昨日のニュースを流している。
『昨夜◯◯線での殺人事件の容疑者が護送中逃走、近くのビルの屋上から飛び降り死亡しました。
容疑者を目撃した人の話では、容疑者は「怪物が襲ってくる」と逃げ回っていたとの事で、警察が詳しく調べています。』
「アルベルト!!」
ジョーがキッチンにいるアルベルトを呼ぶ。
「聞こえた!!何だ?怪物って」
その時…。
「キャー!!」
フランソワーズの叫び声がした。
「フランソワーズ?!」
ジョーは、自分の部屋に戻る。
フランソワーズが壁を指差し「怪物が襲ってくる!!」と叫ぶ。
ジョーが押さえつけても物凄い力で跳ね返す。
興奮して回りが見えていない。
「ごめん!!」
ジョーは一言言うと、フランソワーズの鳩尾に一発入れた。
気を失ったフランソワーズを抱き抱える。
廊下にいたアルベルトに
「こっちも怪物だ…」と言い、研究所にフランソワーズを運ぶ。
「何が起こっているんだ…」
アルベルトも研究所に向かった。
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